「なすび王の国」の版間の差分
(ページの作成:「thumb|300px|首都の遠景 〈なすび王の国〉は、太田剛気の絵物語作品【とんちき坊やとなすび王の国】に登場する国家である。首都はなすごん。 ==概要== 〈なすび王の国〉は、〈連邦帝国〉を構成する立憲君主制国家の1つ。〈列島〉の南部に位置するなすび半島といくつかの島嶼部を領有している。主要産業の農業は〈連…」) |
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2022年1月21日 (金) 05:32時点における版
〈なすび王の国〉は、太田剛気の絵物語作品【とんちき坊やとなすび王の国】に登場する国家である。首都はなすごん。
概要
〈なすび王の国〉は、〈連邦帝国〉を構成する立憲君主制国家の1つ。〈列島〉の南部に位置するなすび半島といくつかの島嶼部を領有している。主要産業の農業は〈連邦帝国〉の食糧自給率の高さに大きく貢献しており、「帝国の食糧庫」の異名をとる。住民の大半は野菜系の民族で占められているが、その内なすび族が特権的な階級となっており、民族による社会階級のヒエラルキーが厳格に維持されている。〈連邦帝国〉構成国の中では先進国に分類されており、皇帝を頂点とする〈連邦帝国〉加盟国(これを盟邦という)の席次でも第5位に位置する主要構成国である。
国号
「なすび王国」ではなく「なすび王の国」である。〈連邦帝国〉の成立以前は「なすごん王国」を名乗っていたが、連邦の構成国となって以降は皇帝への配慮から、皇帝に冊封された国王個人が治める領土であるという意味を強調する目的で「王の国」という国号に改められた。
民族
人口の約95%が野菜系の民族で占められている。この内支配階級のなすび族は全人口の30%ほどで、残りをトマト族・もろこし族・にんじん族・じゃがいも族などの民族が構成している。なすび族は、さらに品種によって緑なすび・紫なすび・赤なすび・青なすびに分かれており、この4品種はそれぞれ王族・貴族・資本家階級・労働者階級という社会階級と対応している。
国制
なすび族出身の国王が、〈連邦帝国〉皇帝からの冊封を根拠として治める立憲君主制を採用している。当初は絶対君主制を採ったが、歴史的経緯から国王の専制権力の維持が難しくなり、まもなく立憲君主制に移行した。憲政成立以降は、国王には儀礼的な役割のみが与えられており、実際の国家統治は立法府である〈なすび議会〉およびその議会が選出した行政府〈なすび内閣〉と司法府〈なすび裁判所〉が、三権を分担しながら行っている。三権の内、議会を構成する議員は国民による普通選挙で選出されており、一定程度の民主主義制度が普及している。
ただし、〈なすび王の国〉は事実上の身分制社会を採用する国家でもある。憲法では、第一憲法においては「憲法の下で」、第二憲法以降においては「〈連邦帝国〉皇帝の名の下で」すべての市民が平等であると定められている。しかし、実態としては民族による社会階級の分化が根強く維持されており、特に国王を輩出するなすび族は特権階級としてその他の民族と明らかに区別されている。普通選挙に代表されるように、制度面では全民族平等の仕組みが整えられてはいるものの、この平等の理念は市民生活にまで浸透するにはいまだ至っていない。
歴史
概観
〈なすび王の国〉の歴史は、大きく以下の区分に分けることができる ・建国以前 ・〈なすごん王国〉時代 ・〈なすび王の国〉絶対王政期 ・〈なすび王の国〉憲政期 元は数多くの野菜系民族による民族国家のうちの一つであったが、〈岩山の王国〉のなすび半島進出を阻止するための同盟において主導的な役割を果たしたことでなすび半島の主要国として台頭した(建国以前)。〈岩山の王国〉撃退後は軍事力を背景にして周辺国を次々と支配下に置き、〈なすび半島戦争〉でだいこん族の国を破ったことで半島の全域を掌握した(〈なすごん王国〉時代)。 その後、〈連邦帝国〉成立の過程で〈列島〉全域にまで政治的影響力を及ぼす国家へと成長したが、国内では支配階級であるなすび族の内紛から緑なすびの王族による専制政治体制が崩れて議会政治を中心とした体制へと移行する(〈なすび王の国〉絶対王政期)。憲政時代が始まると、国家統治は赤なす党と青なす党による二大政党制が定着したが、絶対王政という抑え込みの力が失われたことで民族間・社会階級間の争いが表面化しており、対外的な影響力の増大とは対照的に国内の社会問題をどう克服していくかが課題となっている(〈なすび王の国〉憲政期)。
なすび半島統一まで
古くは、現在のなすび半島の地域には多くの野菜系民族による民族国家が乱立しており、なすび族の国もそうした諸国家の1つに過ぎなかった。これらの国家は農耕文化を基盤にしていたことから、土地を巡る国家間の争いは有史以来絶えなかったが、それでも分立した国家を統一するほどの強大な権力者は現れず、半島では群雄割拠の状態が長らく続いていた。
この状況が変わったのは、なすび半島の北側に成立した強大な軍事国家〈岩山の王国〉が成立したことがきっかけであった。〈岩山の王国〉は周辺国家を併呑しながら急拡大しており、ついには半島にふたをするように国土を広げるに至った。〈岩山の王国〉という明確な脅威が出現したことで、なすび半島の諸国家ではにわかに「反岩山同盟形成論」が勃興する。この結果、〈岩山の王国〉と国境を接する半島北部の諸国家が平和裏に〈野菜国家の同盟〉を結成し〈岩山の王国〉の南下に備えた。〈野菜国家の同盟〉と〈岩山の王国〉は数度の戦争を戦ったが、この争いは最終的に第二次へた山脈の戦いによって〈野菜国家の同盟〉側の勝利によって終結し、半島の諸国家は〈岩山の王国〉の半島侵入を防ぐことに成功した。
この対〈岩山〉戦争において英雄的な役割を果たしたのが、なすび族の首領・なすごんであった。なすごんは戦後、カリスマ的な人気を獲得して〈野菜国家の同盟〉の盟主となり、まもなく同盟はなすび族を中心とする〈なすび同盟〉に衣替えした。これを機に、なすごんは自らをなすごん1世と称してなすび族国家の君主に即位し、ここに〈なすごん王国〉を建国した。
新たな王国は軍事力を背景にして野菜系民族の周辺諸国を同盟に吸収していったが、この動きに強く抵抗したのがだいこん族らの民族国家〈だいこんの国〉である。〈だいこんの国〉は反〈なすごん王国〉を掲げる国家を糾合して〈だいこん同盟〉を結成し、対〈岩山〉戦争終結からわずか数年後にはなすび半島のほぼ全域で〈なすび同盟〉対〈だいこん同盟〉の構図が完成した。両同盟は〈なすび半島戦争〉で覇権をめぐる決戦に臨み、この戦いを制した〈なすび同盟〉陣営がついになすび半島全域の統一に成功した。
〈連邦帝国〉成立から第一王政の終焉まで
なすび半島の統一によって〈列島〉南部の地域大国となった〈なすごん王国〉は、安定した農産物生産を経済的な基盤として〈列島〉各国への食糧輸出を推進し、著しい経済成長を遂げる。「〈列島〉の食糧庫」という二つ名はこの時期に生まれたとされている。
経済的な成長は〈列島〉内における王国の存在感増大を促した。なすごん1世の孫・なすごん3世の治世では、〈かっぱ大公国〉崩壊の事後処理のために主要国の代表を集めて開かれた〈第一次列侯会議〉に召集され、〈列島五大国〉の一角として国際的に認められることとなった。〈第二次列侯会議〉では〈いるか島の国〉代表が提案した〈連邦制同君連合構想〉に関税撤廃賛成の立場から賛同し、同構想が結実した結果成立する〈連邦帝国〉建国に重要な役割を果たした。〈連邦帝国〉が〈第三次列侯会議〉の結果成立すると、〈なすごん王国〉はその原加盟国として大国としての地位を確固たるものとした。その後、なすごん3世は国号を〈なすび王の国〉へと改めた。
その後、なすごん4世の時代になると国内ではなすび族の内部で品種同士の争いが激しくなる。国王を輩出する緑なすび、貴族階級の紫なすび、地主(資本家)階級の赤なすび、百姓(労働者)階級の青なすびが、国内政治の主導権を巡る争いを繰り広げた。これは、なすごん3世というカリスマ君主がこの世を去ったことで、なすび族の各品種間でパワーバランスが変化したためである。この争いは、最終的に憲法制定による法の支配の確立によって終息し、〈なすび王の国〉は君主による専制政治から法治主義政治へと転換した(王政期の終焉)。
憲政成立以降
憲政期がはじまると、〈なすび王の国〉では人口の多い赤なすびと青なすびが実権を握るようになり、緑なすび(王族)・紫なすび(貴族)たちは徐々に名誉的・儀礼的な役割のみを担うようになっていった。これは、法治主義の浸透によって実力主義の時代が到来し、それまで政治・社会の様々な場面で実務を担っていた赤なすび・青なすびの活躍の場が増えるようになっていったためである。実務の現場を知らない緑なすび・紫なすびは存在感を失っていった。
なすごん4世が没して幼少のなすごん5世が即位すると、赤なすび出身の宰相・なすじゅうろうが政治の全権を名実ともに掌握した。議会主導で〈第二憲法〉が制定されると、立憲君主制・議会政治・三権分立などの本格的な立憲政治が登場し(第二憲政)、〈なすび王の国〉は当時としては先進的な政治文化を備える立憲国家へと脱皮した。
議会政治が整えられると、なすび族内では赤なすびらによる赤なす党と青なすびらによる青なす党が二大政党制を形成した(赤青二大政党制)。両党ともに各品種の社会階級を代表する階級政党であり、国内政治は資本家階級(赤なすび)対労働者階級(青なすび)という対立構造を軸にして行われるようになった。両党の勢力は拮抗していたため、総選挙の結果を通して交互に政権を担当しながら漸進的な社会改革を進めていった。この二大政党制では、両党は自勢力の利益を代表して鋭く対立しあったものの、政党政治の維持という点では一致していたために現行の政治体制を崩壊させるほどの政争(クーデターなど)には発展しなかった。その意味で赤青二大政党制は均衡のとれた安定的な政治体制であった。
この均衡が崩れたのは、なすごん6世の時代に起こった〈青なす党のなが~いクーデター〉によってである。これは当時の赤なす党を与党とするなすごろう政権が労働者階級の負担が増す税制改革を実施したことに対する青なすび労働者たちの反対デモがきっかけとなって起こった反政府運動である。政府がこの運動を武力行使によって鎮圧しようとしたことで事態は悪化し、国内は内乱状態に陥ったが、急転直下でこの状況に終止符を打ったのが〈王太子のクーデター〉であった。〈王太子のクーデター〉は、当時の王位継承順位第一位の緑なすびの王太子が首謀したもので、現国王なすごん6世と現政権の幹部らを一斉に拘束して現行の統治体制の解体を目指して起こされた。クーデターの結果、第二憲政とそれを支えた赤青二大政党制は停止され、新国王として即位した王太子改めなすごん7世が親政を執る形で新政権が組織された。
新政権は制憲議会を通して〈第三憲法〉を制定し、国王親政・三権分立・民族平等の理念を柱とする〈第三憲政〉が開始された。
登場する作品
【とんちき坊やとなすび王の国】 世界各地を旅するとんちきとろんが訪れた国として登場する。作中では〈青なす党のなが~いクーデター〉から〈王太子のクーデター〉までの出来事が描かれている。